2015年から当時の理工学研究科 工学系(工学部)の企画・広報委員会の行事として始まった東工大コンサートシリーズは、科学者を触発し続けてきた芸術を愉しむ会です。毎回、学内外からたくさんの聴衆が集まる人気行事に成長しました。
今年度の第1回は、新入生を迎える春にぴったりのフランシス・プーランク(1899-1963)の室内楽作品をお送りします。
演奏会のタイトルは「東工大への招待」。そこで、舞台音楽として書かれた知られざる傑作「城への招待」を選曲。その他、管楽器とピアノの名作も揃えました
コンサートは大学の社会貢献も含めて行っておりますので、どなたでもご参加いただけます。先着順で、事前申し込みや整理券はありません。
東工大への招待!若葉萌えいづる大岡山キャンパスで、みなさんをお待ちしています!
開催概要
日時 |
2018年4月17日(火)17:30開演(17:00開場、19:20終演予定) |
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場所 |
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出演者 |
黒岩航紀(ピアノ)、伊藤優里(フルート)、佐竹真登(オーボエ)、矢野健太(ホルン)、大内秀介(ファゴット)、照沼夢輝(クラリネット)、岸本萌乃加(ヴァイオリン) |
参加方法 |
無料・先着順(定員320名)
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主催 |
東京工業大学 物質理工学院 |
後援 |
日本フィルハーモニー交響楽団、工系3学院企画・広報委員会、国際フロンティア理工学教育プログラム |
プログラム
フランシス・プーランクの作品
- 愛の小径(フルート、ピアノ)FP106b(1940)
- オーボエ、ファゴット、ピアノのためのトリオ FP43(1926)
- ホルンとピアノのためのエレジー FP168(1957)
- フルート・ソナタ FP164(1956-57)
- 城への招待(クラリネット、ヴァイオリン、ピアノ)FP138(1947)
- ヴァイオリンソナタ「アラン・ロルカの思い出」から第2楽章 FP119(1942-43 rev. 49)
- 六重奏曲(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、ピアノ)FP100(1932)
プーランクは20世紀前半にパリで活躍した作曲家です。モーツァルトの再来と評されたように、親しみやすく美しいメロディや踊りたくなるような軽快なリズムが特徴です。そしてそれらを彼独特の和声が彩ります。その軽妙洒脱な表現に触れて、外国人がフランスに抱くイメージ、たとえば、パリの香り、エスプリ、お洒落、といった単語を連想する人は多いと思います。同時に、日本人には江戸文化の美意識である「いき」と共通の精神を感じとることもできるかもしれません。つまり、洗練された身なりや振る舞い、艶やかさ、人情、遊びの達人、そしてやせ我慢や反骨精神、といった要素が醸し出すかっこうのよさに似ているのです(「いき」についての哲学的な考察は、九鬼周造「『いき』の構造」(1930)をお薦めします)。今回はそんな「いき」を感じる作品たちに焦点を当てました(実際のプーランクの音楽の全貌は、ガキ大将の悪戯のようなユーモアとアイロニーのある逸品、ペーソスを感じさせる中後期の作品群、そして敬虔なカトリック教信者らしい崇高な宗教作品まで多岐にわたっています)。
今回選曲した「城への招待」は、劇伴らしい親しみやすさの中に、プーランクの美意識が凝縮された作品です。しかし、数少ない貸出し用の楽譜しか存在せず、その使用料が高いこともあって演奏機会が少ないのです。今回は、真価を知るよい機会になるでしょう。
その他、管楽器とピアノの名作を揃えました。なかでも六重奏曲は、スター集団のレ・ヴァン・フランセが日本で何度も演奏し、有名作品になりました。今回の演奏は同時期に藝大で学んだ20代半ばの若者たちに任せます。すでにソリストや在京オケのメンバーとして活躍し国内外のコンクールでも優勝・入賞している精鋭メンバーです。リーダーはピアニストの黒岩航紀さん。彼ら彼女らのみずみずしい感性のきらめきをお楽しみください。
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